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2015年11月18日

目をシヌに向けて


屋敷に戻ったテギョンにシヌが訊いて来た。
一瞬おどおどしたテギョンだったが、何かを考えるように動かした目をシヌに向けて、
片側の口角を上げる。

その顔に戻っていた事を確信したシヌはそれ以上は追及しなかった。
ただ・・・

「大丈夫、なのですか Dream beauty pro 好唔好。」

とだけ訊き、テギョンはそれにも考えるような目でシヌを見る。

「大丈夫・・・『じゃないかもしれない・・・・』」

呟きは途中で途切れてしまった。
誘われたのか、操られていたのか、ミニョに理性を奪われた事は言わなかった。

「これからどうするかは考えておられますか。」
「それはコ・ミニョの事を聞いているのか。」
「はい。」

シヌは真っ直ぐにテギョンを見て返事をした。
正直、ミニョが来てからのテギョンはこれまでと何かが違う、
それは良い事のようでもあり補濕、悪い事のようでもあって、シヌとしては迷うところもある。

一番危惧している事はテギョンがミニョに心を奪われているのかどうかで、
冷静に判断しているなら何も心配する事はないと思っていた。

「ミニョを傍に置く。」
「それは今も置かれていると思いますが・・・」

シヌの言う事にテギョンは笑った。

「コ・ミニョにニンフの血があるのか優纖美容、その気にさせるってのはどうだ。」
「・・・・・・・、それは・・テギョン様の望みですか? それとも戦略ですか?」

シヌの言葉をテギョンは黙って考える。
テギョン自身、ミニョへの感情が何なのかはまだ分かっていなかった。

「・・・反対させて頂いてよろしいですか。」
「反対?」
「はい、できればコ・ミニョと関わる事をおやめ下さい。」
「シヌ・・・」

真っ直ぐに見つめるシヌの目には心配が滲んでいる。

「お気づきですか、何にも執着を見せなかったテギョン様が今はコ・ミニョの事ばかり、
 それが魔界との戦いに打開を見い出すのですか。」

シヌの言いたい事はテギョンにもよく分かった。

魔界と人間界の門にでもなると言うなら対処も必要だったが、
その心配はなくなったのだ。

今もまだ残っている不安材料と言えば、
ミニョがニンフの血を引いているかもしれない事と、
ジフンって妖魔がミニョを狙っている理由が分からない事くらいだ。

魔界との戦いにミニョは不必要だと言うシヌの言い分は間違っていない。
むしろ敵対する兄を持つミニョとは関わるなという方が正論だと思う。

「シヌはどうしたいんだ? ミニョを魔界に送りたいのか、それとも幽閉しておくべきか?」
「それは・・・・」
「ミニョがニンフなら俺とどうなろうと問題はないだろう?」
「テギョン様!?」

止めるようにシヌが声を上げる。

「本気なのですか。」
「魔界にいた記憶は封印されてる、簡単には思い出せないだろう。
 だからニンフの血を揺さぶって見る。」
「揺さぶる?」
「ミニョは囚われていた時、
 ジフンから目覚めていないだけで特別な存在だと言われたそうだ。」

そこまで言ってテギョンはまた考えるように口を動かしシヌを見る。

「人間とニンフのハーフだから特別なのか、もっと違う意味があるのか、
 ミナムは妖魔なのに、ミニョは何故人間なのか、
 知りたいと思うのは悪い事か。」

その言葉にシヌが目を細める。

「退屈・・・されているのですか?」

訊き返したシヌにテギョンは小首を傾けてから呆れた顔をした。

「でしたらその任務は私にお任せください。」

今度は眉を寄せる。

「ニンフの相手ならテギョン様より私のほうが豊富です。
 ミニョを揺さぶるのでしたら、私のほうが適任かと思います。」
「本気で言ってるのか。」
「勿論です。」
「ニンフだとは思ってもいないのにか。」
「だから余計にです。 人間相手に何か問題が起きた時、テギョン様を守れます。」
「いいだろう、シヌにミニョが揺さぶれるなら任せてやる。」

テギョンは顎でやってみろと促す。

「今ですか。」

テギョンの目がそうだと言う。

少し考えたシヌは、庭にミニョを呼び出した。

「あの・・・何か・・・」
「ちょっと訊きたいことがあって・・・」

やって来たミニョはシヌの前に何でも聞いてくださいって顔で立つ。

「テギョン様のことが好きなのか。」

一瞬の戸惑い、見開いた目を二度三度と瞬きさせてミニョはシヌを見る。
少し離れたところで様子を窺っていたテギョンもなんて質問だとシヌを見た。

「勿論です、天使を嫌いという人はいませんと前にも言いました。
 あれ、言いませんでしたか・・・・」

言って考え込むミニョに、シヌは次の言葉を投げかけた。

「だったら俺やジェルミのことも好きだよね。」
「はい。」

力一杯の返事が返ってくる。

「なら、ミニョを揺さぶるのがテギョン様でなく俺でも問題はないだろう。」

訊かれてミニョはまた丸くした目を瞬かせた。  


Posted by guiei at 16:36Comments(0)option